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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の見直し (令和5年度税制改正大綱)

  相対的に税率が低い国に設立した子会社に多くの所得を留保することによる租税回避を防止する目的の制度が、外国子会社合算税制(いわゆる タックスヘイブン対策税制―CFC税制)です。原則的には外国子会社の税負担が、「トリガー税率」と呼ばれる一定の税率より低い場合に、外国子会社の所得を日本の親会社の所得とみなして合算して課税を行うものです。

 現行の制度は、①ペーパーカンパニー、②事実上のキャッシュボックス、③ブラックボックス国に所在 (①②③は特定外国関係会社とされますが、以下は「ペーパーカンパニー等」とします)のいずれかに該当する場合において、税負担がトリガー税率とされる30%未満の場合には、全ての所得を合算課税対象としています。

 与党が提出をした「令和5年度税制改正大綱」では、ペーパーカンパニー等に関するトリガー税率の引き下げを行うとしています。具体的に見れば、現行の30%から27%へ引下げが行われます(※)。これにより、現在、外国子会社合算税制の対象となっているペーパーカンパニー等において、トリガー税率の引き下げにより合算課税の適用が免除されるケースも出てくるものと認識されます。

 なお、現行制度においては、ペーパーカンパニー等以外の企業には20%未満の税率による「制度適用免除基準」が適用されておりますが、こちらのトリガー税率についての改正はありません(現行のママ20%未満となります)

(※)2024年(令和6年)4月1日以後に開始する内国法人の事業年度から適用

 

 

 
中古ベンツの購入はなぜ4年落ちがいいのか

 新年あけましておめでとうございます。

 今回は、節税ノウハウ本などに書かれている「社長!中古のベンツを購入するなら4年落ちが節税になります」とはどういうことなのかを確認したいと思います。

 固定資産を購入した場合、その固定資産ごとに定められた法定耐用年数により減価償却を行う(種々特例あり)ことになりますが、中古資産の耐用年数はどう考えるのでしょうか。原則「合理的に見積もった耐用年数」によるが、その見積もりから恣意性を排除することが非常に困難であるため、実務では例外の「簡便法」によるところが多いのではないでしょうか?

 簡便法は、以下の算式で耐用年数が計算します(最低2年、1年未満の端数は切り捨て)

 a.法定耐用年数の全部を経過…法定耐用年数×0.2

 b.法定耐用年数の一部を経過…法定耐用年数-経過年数+経過年数×0.2

 これら算式により耐用年数が2年と計算されれば、200%定率法の場合、償却率は1.000なので、1月取得であれば、月数按分12/12となり、1年で購入金額の全額が経費となります(もし12月取得であれば月数按分1/12となります)。普通自動車の法定耐用年数は6年なので、上記算式により経過年数が3年6月超であれば耐用年数が最短の2年となります。

 よって冒頭に記載した4年は年数的には正しいといえます。ただ、その事業において中古のベンツがなぜ必要なのかを説明できなければ、個人で使用するベンツと認定される可能性もあるため、過度な節税と思われる行為には注意が必要です。

 
 
【国際税務教室】 租税条約における学生・事業実習生等

  租税条約では、学生(student)や事業実習生(business apprentices)(※)の活動を保護するため、これらの者が受けとる所得や給付について、滞在地国で免税とする規定が存在します。

 各国の租税条約のひな型の一つとされるOECDモデル租税条約において、免税の適用要件についてみれば、①専ら教育又は訓練を受けるために滞在する学生又は事業実習生であること、②当該者が、現に相手国の居住者である場合又は滞在地国を訪れる直前に相手国の居住者であった場合であること、③当該給付が、生計、教育又は訓練のために受領する給付であること、④当該給付が滞在地国以外から支払われる場合に限ること、の四つとされています。この場合、滞在地国で支払われる給付は、上記の要件を満たさないことから免税とはなりません。

 我が国が締結をした租税条約についてみれば、先進国との条約ではOECDモデル租税条約と同様の条項となっているのに対し、開発途上国等との条約では、教育又は訓練に関連して、滞在地国で役務提供をしたことにより得た所得についても、滞在地国で免税とするといった条約もあるなど、免税の範囲が相対的に広くとられている場合があります。その場合、すべてを免税とする条約もあれば、一定の限度額を設けて免税とする条約もあるなど、免税に関する取扱いが細かく規定されているケースが多く存在します。したがって、実際に学生・事業実習生について、租税条約による免税の適用を受ける場合には、それぞれの条約の規定を確認する必要が生じます。(※)租税条約上は「学生」及び「事業実習生」の定義はおかれていないことから、条約を適用する締約国の国内法により解釈を行うことになります。

 

 
所得税と消費税との違い(通勤手当について)

  一般的に通勤手当は給与課税されないものと思われがちですが、給与として課税される場合もあります。

 所得税では、通勤手当について所得税法9条五で「…その通勤に必要な交通機関の利用…のために支出する費用…のうち…通常必要であると認められる部分(所得税法施行令20条の2に基準が示されている。)」は非課税(給与課税されない)と規定されているので、これを超える通勤手当は「給与」として課税(源泉徴収)されることになります。

 ところで経理担当者は、この通勤手当について消費税の可否判断をする際に「所得税法上非課税とされる部分は課税仕入で、超えた部分は給与なので不課税かな?」と判断しがちであるが、消費税法基本通達11-2-2では「…通勤者…に支給する通勤手当…のうち…通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用…のために支出する費用に充てるものとした場合に、その通勤に通常必要であると認められる部分の金額」は課税仕入れに該当するとされていることから、所得税の規定にかかわらず、その通勤手当が通勤者の通勤費用に充てられるものとした場合に、その通勤手当の額が通常必要なものであるときは、課税仕入れに該当することになります。

 通常、通勤手当を支給する場合、会社ごとに定められた基準により支給されますが、その基準による支給額が「通常必要」であるかどうかの精査をし、その結果「必要」であると判断されれば、所得税の規定にかかわらず、消費税では課税取引となることに留意が必要です。

 
 
【国際税務教室】 外国株式や外国公社債の譲渡における為替差損益

  歴史的とされる円安を背景に、外貨建て資産の譲渡が多くみられます。外貨預金を解約して円で払い出すといった取引が代表例といえます。その場合、所得税法の適用において、預入時と解約時の為替レートによる円換算額の差額(以下、「為替差損益」とします)は、実務上、雑所得として取り扱われていることが一般的です(※1)。他方、外国株式や外国公社債などの外貨建資産の譲渡を行う場合は、どのように取り扱われるのでしょうか。これらを譲渡した場合には、①資産そのものの譲渡損益と、②当該資産の取得時と譲渡時の為替差損益の二つの損益が認識できます。所得税法上、②は①と区別して雑所得として認識する必要があるのでしょうか。

 所得金額の計算は、円貨で行うことが前提とされていることから、所得税法においては、外国通貨で支払いが行われる資産の販売及び購入等を外貨建取引とし、居住者が外貨建取引を行った場合には、外貨建取引を行ったときにおける外国為替の売買相場により換算した金額により所得計算をするとされています(※2)。したがって、外国株式や外国公社債を譲渡した場合の所得計算は、取引を行った時点の外国為替売買相場により円換算を行った上で行うことになります。これにより、資産の取得時と譲渡時の為替差損益は、譲渡所得に含まれることになります(※3)。すなわち、所得税法上、外国株式や外国公社債の譲渡を行った場合には、①譲渡損益と②為替差損益を区別して認識する必要はありません。

(※1)譲渡所得に該当するという意見もあります。(※2)所法57の3条1項 (※3)申告分離課税(20.315%)となります。