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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】国外親族に係る扶養控除等の書類の添付義務化

平成27年度税制改正では、「日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化」の措置が講じられています。

居住者の所得税は、個人の年間の所得金額より所得控除を差し引いた課税所得金額を基礎として計算がなされます。所得控除の内、扶養親族を有しているなどのため経済的負担が生じるといった、納税者の税負担能力を考慮するために設けられているものが扶養控除です。

経済及び社会の国際化が一層の進展をみせる中、国内で就労する外国人や国際結婚が増加することにより、日本国外に居住する扶養親族(以下、「国外親族」とします。)を控除対象の扶養親族とする納税者が増加傾向にあります。扶養控除を受けるには確定申告による方法と年末調整による方法がありますが、これまでは、そのいずれにおいても控除対象扶養親族の要件を満たしていることを証明する書類の添付は法令の規定で定められていませんでした。したがって、扶養控除の対象とされる国外親族が控除要件を適正に満たしているか否かについて、確認が困難なケースが存在するなどの問題が指摘されてきました。

平成27年度税制改正では、国外親族について扶養控除等の適用を受ける場合には「親族関係書類」と「送金関係書類」を提出することが義務化されています(※)。源泉徴収事務、年末調整事務等において、国外親族の扶養控除等の適用をする場合には注意が必要となります。

(※)平成28年1月1日以後支給される給料等並びに平成28年分以後の所得税について適用されるとされています。

 
【国際税務教室】出国時課税制度の創設

   平成27年度税制改正で創設される「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」(以下、「出国時課税制度」とします。)が注目を集めています。「出国時課税制度」は税負担の回避に対抗するための制度であり、一般的には「EXIT TAX」などと呼ばれ、多くの先進国では既に同様の制度が導入されています。

創設される「出国時課税制度」では、1億円以上の有価証券等を有する居住者が国外転出する際に、その有価証券等の譲渡があったものとみなして所得税の課税がなされます(※)。この制度の対象とされる「国外転出」する居住者(国内に住所及び居所を有しないことになる居住者)には、国外への移住など恒久的に日本国外に居住することを目的として出国する者のみでなく、国外の関連会社への海外赴任等により一年以上国外に居住する者のように、一定期間の日本国外での居住を目的として出国する者も該当するとされているように考えられ、留意が必要です。

また、この制度の対象とされる「有価証券等」には、国債や地方債、株券や新株引受権等が該当することとされますが、株式についてみれば、上場株式だけではなく、非上場株式や外国株式も含まれる点も留意点とされます。

「出国時課税制度」は、今年(2017年)の7月1日以後の「国外転出」から適用されるとされており、制度の開始までに時間的な余裕がないことから制度の詳細に注目が集まっています。

(※)一定の手続を行うことにより納税猶予を受けることができます。

 
【国際税務教室】平成27年度改正「トリガー税率」引き下げの検討

タックスヘイブン(※1)に子会社を設立し、日本親会社の税負担を不当に軽減させるといった租税回避を防止する制度がタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)です。

当該制度は、一定の税負担の水準以下の外国子会社の所得を日本親会社の所得とみなして、それらを合算して課税を行うものです。この場合の「一定の税負担の水準」は一般的に「トリガー(銃の引き金)税率」と呼ばれており、現行制度では「20%以下」とされています。諸外国の法人税率を見ると、タイ20%(2013年1月~)、イギリス20%(2015年4月~)、ベトナム20%(2016年1月~)といったように、世界的に税率引き下げの傾向が拡大していることから、現行の「トリガー税率」では、これらの国に所在する外国子会社が対象となり得ることになります。

一方、当該制度では、トリガー税率以下の税負担となっている外国子会社であっても、「適用除外基準」(※2)をすべて満たす場合には合算の対象とされません(※3)。しかし、その場合においても外国子会社は、これら「適用除外基準」をすべて満たしているか否かについて確認をする必要が生じ、事務負担が増大することになります。

このような状況を踏まえ、平成27年度税制改正では、トリガー税率を「20%未満」に引き下げるといった法案が提出されており、事務負担増大の見直しが図られます(※4)

(※1)tax haven:「税の回避地」とも呼ばれる、税負担の著しく低い国のことを指します。

(※2)①事業基準、②実体基準、③管理支配基準、④所在地国基準または非関連者基準の四つの基準を指します。

(※3)資産運用的な所得は合算課税の対象とされます。

(※4)平成27年4月1日以後に開始する事業年度に適用される予定です。

 
国税庁 美術品等の減価償却資産の判定について 改正通達公表
~経過措置により過去に取得した20万円以上100万円未満の美術等の償却が可能に~
 
 国税庁は、法人税基本通達7-1-1(書画、骨とう等)に定める減価しない美術品等の範囲について、取得価額20万円以上から100万円以上へと引き上げる見直し案をバブリックコメントとして発表していましたが、12月25日これを受けて改正通達が公表されました。
 
1 改正の背景
 
 会社が取得した絵画や置物等について、税務上における減価償却資産の判定基準は従来通達7-1-1(書画骨とう等)により明らかにされていました。
 
 古美術等歴史的価値や希少価値があるもの除き
 
  ①、美術関係の年鑑等に登録されているかどうか
    登録されていれば   非減価償却資産
  ②、上記1で登録されておらず、かつ、1点20万円
    (絵画は号2万円)以上かどうか
    以上であれば   非減価償却資産
 
 この判定について法令解釈通達の発遺後30年余を経過し、美術品等の多様化や経済状況の変化等により、この基準に基づいて減価償却できる美術品の範囲がその取引実態と乖離してきたと考えられるため、見直しされたものです。
 
2 改正の内容
 
  ①、年鑑登録基準(著名な作家であっても美術年鑑等に
    登録されていない者も多くいる等)の廃止
 
  ②、新鋭作家のデビュー作が1点60万円~80万円で取引きされる
    実態があることや、市場による一定の評価を得ることができる
    作者かどうかは一般に作品の価格が100万円を超えるかどうか
    で評価することができるといった専門家の意見等を踏まえ、
    取得基準を100万円未満に引きあげる。

    号2万円基準も廃止する。絵の価格は絵画の大きさに応じて決まる
    ものではないから他の美術品と同様、1点100万円未満かどうかで
    判断する。
 
3 経過的取扱い…改正通達の適用時期
 
 パブコメにおける法人税基本通達の改正案では、
 平成27年1月1日以後に開始する事業年度において法人の有する
美術品等について適用することとされていました。
 
 修正案は次のようになりました。
 
 平成27年1月1日以後に取得をする美術品等について適用し、同日前に取得をした美術品等につては、なお従前の例による。
 
 ただし改正通達の適用開始前に取得した資産が減価償却資産に当たれば適用初年度に改正通達の適用があることが明記されました。
 
 また、中小企業者の30万円未満の減価償却の特例(措法67-5)についての適用関係も示されている。
 
    「法人税基本通等の一部改正について」
    (法令解釈通達)javascript:void(0);/*1420422068152*/
 
    「所得税基本通達の制定について」の一部改正について
    (法令解釈通達)javascript:void(0);/*1420422103174*/
 
【国際税務教室】平成27年度改正「出国税」(Exit Tax)創設の検討

平成27年度の税制改正大綱の閣議決定に向けて、政府税制調査会において税制改正の審議が進められています。これら審議の中で国際課税に関するものとしては、いわゆる「出国税」(Exit Tax)の導入が検討されています。「出国税」とは一体どのような税なのでしょうか。

租税条約上、株式等の売却益(以下、「キャピタルゲイン」とします)は売却した者が居住している国に課税権があるものとされています。したがって、例えば巨額の含み益を有する株式を保有したまま、シンガポールや香港、スイスなどといったキャピタルゲインに対して課税をしない国に出国し、その後に株式等を売却した場合には、税負担の回避が可能となります。こうした税負担の回避に対抗するために講じられる制度が、いわゆる「出国税」であり、当該制度では出国時において未実現のキャピタルゲイン(含み益)に特例的に課税を行う措置が取られます。

先進諸国においてはこのような「出国税」を導入している国が多く(※)、政府税制調査会において、日本でも行うべきではないかという問題提示がなされ審議が行われています。

  財務省の説明からすると平成27年度(2015年度)からの実施を目指すとされておりますが、課税対象とされる資産規模はいくらなのか、一定の資産規模を超えた場合には(株式等資産を譲渡する予定の有無とは無関係に)一律に出国時に課税されるのかなど、制度の詳細については、今後明らかにされることになります。税制調査会の議論の推移が注目されます。

  (※)導入している国の例としてはアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、ニュージーランド、ノルウェー、オランダ、スペイン、スウェーデン等々(税制調査会資料 平26.10.21[5-5]説明資料より)