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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 租税条約の優先適用(プリザベーション・クローズ)

 国際的二重課税の排除及び国際取引を通じた脱税や租税回避を防止する目的から、各国は二国間で租税条約を締結しています。租税条約が締結されている場合、グローバルな経済活動に対する課税の取り扱いを把握するためには、関係国の国内法のみではなく、租税条約についても確認が必要となります。すなわち、国内法に加えて租税条約の取り扱いを確認するといった、いわば複層的な検討が必要とされます。その場合、国内法の取り扱いと租税条約の取り扱いが異なるときに、どちらを優先して適用するのかといった点に困惑する事があります。

 一般的には、日本国憲法98条2項の規定に基づき、条約の規定が明確性と完全性の要件を満たしている場合には、条約が国内法に優先して適用されると解されています。したがって、租税条約の規定は我が国の国内法の規定に優先して適用されることになります。しかし、国内法の規定と条約の規定が異なる場合のすべてにおいて、条約の規定が適用されるかというと、そうではない場合が存在します。この点について、課税の根拠は課税要件法定主義の見地から国内法に基づく必要があり、租税条約の規定を根拠に課税を行うことはできないという考え方が通説とされています。したがって、たとえば国内法上は非課税とされている所得について、租税条約で課税とされている場合において、租税条約の規定を根拠として課税が行われることはありません。すなわち、租税条約は課税の根拠規範とされることはなく、あくまで課税を制限するものとして機能するといった、課税の制限規範として働くものとされます。この原則はプリザベーション・クローズ(preservation clause)とよばれています。
 
 
平成30年分からの年末調整の注意事項

 平成30年分以後の所得税につき、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われ、配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額等が改正されました。その影響を受けて、平成30年分の年末調整において利用する配偶者控除等申告書等の様式が以下の通り変更となっています。

1.給与所得者の配偶者控除等申告書等の様式変更
 従前の「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」の兼用様式であったものが、平成30年分から「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」に分割されました。配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける給与所得者は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「源泉控除対象配偶者」欄への記載の有無にかかわらず、「給与所得者の配偶者控除等申告書」を給与の支払者に提出しなければ、配偶者控除が受けられないこととなりました。
 
2.源泉徴収簿の様式変更
 源泉徴収簿の⑮欄の「配偶者特別控除額」が「配偶者(特別)控除額」に改められました。
また、⑯欄の「配偶者控除額、扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額」が「扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額」に改められました。
 
 これらに伴い、配偶者控除額については、従前は⑯欄に含めて記載することになっていましたが、平成30年分の源泉徴収簿においては、⑮欄の「配偶者(特別)控除額」に記載することとされています。
 
【国際税務教室】 租税条約に定める限度税率を超える外国税額

 海外から配当や使用料といった投資所得の支払を受ける場合、その国からの支払に際して、その国の租税の源泉徴収がなされることが一般的です。他方、我が国の法人税法上、源泉徴収された税額は外国税額控除の対象となり、これにより二重課税の排除がなされます。

 支払国において源泉徴収される税率は、その国の国内法の規定によりますが、その国と我が国との間に租税条約が締結されている場合には、租税条約による限度税率に制限されます。したがって、法人税法上、外国税額控除の対象とされる外国税額は、条約締結相手国において課される税額の場合、租税条約に規定される税率が限度となります。すなわち、法人税法上、支払国において、租税条約に規定される限度税率を超えて源泉徴収された税額がある場合、そのような限度税率を超過した税額は、外国税額控除の対象税額となりません。
 
 実務的には、条約締結国からの支払に際して、租税条約に規定される限度税率を超えて源泉徴収される場合も見受けられます。その場合、外国税額控除の対象とされない限度超過分の税額の処理に困惑することがあります。従前、このような限度超過税額は、租税条約相手国において還付を受けるまで、仮払金等として資産計上を行う必要がありました(※1)。しかし、税制改正(平成26年度)により外国税額控除についての整理が行われたことにより、当該限度超過税額は、支払日の属する事業年度の損金の額に算入することが可能とされています(※2)
 
※1)旧法人税基本通達 16ー3ー8(平成26年課法2-9「四」により削除)
(※2)平成29年3月期以降。なお、当該限度超過税額の全部もしくは一部の還付を受けた場合、還付されることとなった事業年度に益金算入することになります。

 

 
電子申告の更なる促進に向けて

 税務手続の電子化については、平成16年2月に運用が開始されて以来、約10年あまりが経過したところですが、近年ではその利用率が足踏み状態にあることから、利用促進に向けて以下の税制改正が行われています。

 1.青色申告特別控除額(65万円)の引き下げ
2020(平成32)年度以降の所得税及び2021(平成33)年度以降の個人住民税から青色申告特別控除額が10万円引き下げられ、55万円となります。ただし、以下のいずれかの要件に該当すれば65万円となり、現行と控除額が変わらないこととなります。
   ・電子帳簿に対応していること
   ・期限内に電子申告(e-Tax)していること
 したがって、紙ベースで帳簿を記載(電子帳簿について税務署長等の承認を受けることなく、市販の会計ソフト等を使用している場合を含む。)しており、かつ、紙ベースでの確定申告を行っている方にとっては、現行通りの65万円控除を維持するためには、上記のどちらかの対応を迫られることになります。
 
 2.電子申告(e-Tax)による法人税等申告の義務化
事業年度開始時の資本金の額等が1億円超である内国法人等については、2020(平成32)年4月1日以後に開始する事業年度について、電子申告(e-Tax)による法人税、地方法人税並びに消費税及び地方消費税の申告書の提出が義務付けられます。
 
 
【国際税務教室】 租税条約における賃借料(リース料)の取扱い

  海外の企業に自社が所有する資産の使用を許諾することにより、使用料を受け取ることがあります。投資所得とされる使用料(※1)は、支払地国(源泉地国)においても課税されることが一般的といえ、両国間に租税条約が締結されている場合の支払地国における課税は、条約の適用を受けることにより、条約により定められた税率を制限としてなされます(※2)

 使用料への租税条約の適用に際して、当該使用料が租税条約に規定される使用料に該当するのか否か、判断に迷う場合も少なくありません。その場合、租税条約には使用料の定義を規定する条項があることから、実務的にはそれに則して取り扱うことになります。
 
 OECDモデル条約では、8つの「無形資産等」(以下、「無形資産等」とします。)が使用料として定義されており、「設備の賃借料(リース料)」(以下、「リース料」とします。)は使用料の定義から除かれています。他方、国連モデル条約では、無形資産等に加えてリース料も使用料として定義されています。我が国が締結した租税条約についてみれば、多くの条約は無形資産等に加えてリース料を使用料として定義していますが、アメリカ、タイとの租税条約のように、リース料を使用料の定義から除外するものもあります(※3)。したがって、リース料について租税条約の適用を検討する場合には、使用料の定義に留意する必要があります。
 
(※1)源泉地国のPE(恒久的施設)に帰属する場合には、投資所得ではなく事業所得として課税されます。
(※2)租税条約によっては、居住地国の排他的課税権を認める(源泉地国での課税をしない)場合も存在します。
(※3)アメリカは「事業所得」条項、タイは「明示なき所得」条項が適用されます。