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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 非居住者への住宅ローン控除の適用(平成28年度改正
 借入金によりマイホームの新築、取得をした場合において一定の要件を満たす場合には、その取得等に係る借入金の年末残高に応じて計算される額を各年分の所得税から控除するといった特例措置(以下、「住宅ローン控除」とします)の適用が受けられます。
 
 従前、住宅ローン控除の適用が受けられる者は、(所得税法上の)居住者に限定されていました。したがって、海外勤務をしているサラリーマン等(所得税法上の)非居住者は住宅ローン控除の適用を受けることができませんでした。しかし、平成28年度の税制改正により要件が緩和され、一定の非居住者も住宅ローン控除の適用が受けられるようになりました。
 
 これまでは、例えば海外勤務をしている期間といった非居住者とされる間に、帰国後の住居とすべくマイホームを借入金により取得等をした場合であっても、住宅ローン控除の要件が居住者に限定されていたことから、適用が受けられませんでした。そのような状況下では、例えば、海外勤務を終え帰国後(居住者となった後に)に住宅を取得する場合には、特例の適用が受けられるのに対して、海外勤務を終える直前の非居住者である状態にて住宅を取得する場合には、特例が受けられないといった、取り扱いの差が生じることになります。
 
 そのような取り扱いの差を無くすべく、平成28年度の税制改正により、居住者が満たすべき要件と同様の要件の下で、非居住者である期間中に住宅等の取得をした場合についても、住宅ローン控除の適用が受けられるよう手当がなされました。この改正は平成28年4月1日以後に住宅を取得する場合に適用がなされます。
 

 

 
【国際税務教室】 租税条約等に基づく情報交換ネットワーク

  国際化が一層進展する中、国際的租税回避行為への対応を強化するためには、各国の税務当局間の協力が必要とされます。このため、G20 やOECDにおいても国際的な脱税及び租税回避行為に対処するための国際協力の必要性が強く検討されていることを踏まえ、我が国においても、租税条約等に基づいた外国の課税当局との情報交換が積極的に実施されています。

 各国間にて締結される租税条約等には、国際的な脱税や租税回避に対処するために、両国間において情報交換を行うといった規定が盛り込まれています。このような租税条約等に基づく情報交換は①他方の国からの「要請に基づく情報交換」、②他方の国にとって有益と推測できる情報を一方の国が能動的に他方の国に提供する「自発的情報交換」、③利子や配当等の支払に関する情報を定期的に他方の国に提供する「自動的情報交換」の三つに分類されます。

 我が国の租税条約等のネットワークは93カ国・地域(※1)にまで拡大しており、最近では、パナマ共和国との間においても租税情報交換協定について実質的な合意がなされています。また、平成27年度税制改正においては、国内に所在する金融機関から国税庁に、非居住者に係る金融口座情報を報告する制度が導入され、平成29年1月1日より施行されます。これにより収集された情報は自動的情報交換として関係国に提供されることになります(※2)。

 世界が租税条約ネットワークで覆われていく現状においては、租税条約による情報交換を理解し、網羅的な申告ができるよう留意する必要があります。
(※1)平成28年6月1日現在、財務省HPより。
(※2)これによる初回の自動的情報交換は平成30年9月が予定されています。
 
 
【国際税務教室】 代理人PE(恒久的施設)の拡張

  企業が海外で事業を行う場合、母国だけでなく、その国における課税問題の検討も重要となります。具体的には、その国の国内税法に従うことになりますが、租税条約が締結されている場合には条約の規定が(優先的に)適用されます。租税条約は「OECDモデル条約」と「国連モデル条約」を基に作成されていますが、「OECDモデル条約」によれば、事業所得は、その国にPEと呼ばれる恒久的施設(以下「PE」とします)が存在する場合に、当該PEを通じた所得についてのみの課税を受けるものとされています。これがいわゆる「PEなければ課税なし」と「帰属主義」の原則とされるもので、国際的な課税ルールといえます。

 PEには(支店や事務所、工場、作業所など)事業を行う一定の場所であって事業の全部もしくは一部を行う場所に加えて、(物理的な場所を持たなくても)代理人を使って事業を行う一定の場合も(当該代理人をPEとみなして)該当する(以下、「代理人PE」とします)とされています。しかし、当該代理人PEは契約名義を(企業の名ではなく)代理人の名とする、(実質的な活動は代理人が行うも)契約の締結は企業が行う、その国に所在する子会社等を独立代理人(企業以外の代理業務も行う者)とするなどの行為により回避されることがあり、問題とされてきました。
 
 この点に対処するために、OECDのBEPSプロジェクトでは代理人PEの定義を現状より拡張する行動基準を定めています。この行動基準は、今後、既存の租税条約に取り込まれていくことが予定されています。その場合、これまでPEとされなかった活動が新たにPEに認定されることも予想されることから、注意が必要です。
 
 
【国際税務教室】 寄付金課税(国外関連者に対する寄付金の損金不算入)

  国際化が一層の進展を見せる中、海外子会社を有する中堅・中小企業も珍しくありません。多国籍化した企業では「人・物・金+ノウハウ」が国境を越えて飛び交うようになります。そのような場合、税務上、特に注意が必要とされる項目の一つに「寄附金税制」があります。

 法人税法上、発行済み株式総数の50%以上を保有する海外子会社を「国外関連者」と呼びますが、「国外関連者」に対する寄付金はその全額が損金不算入とされます(※1)。これが「寄附金税制(国外関連者に対する寄附金の損金不算入)」と呼ばれるものです。
 
 法人税法上、寄附金とは①「金銭、その他の資産又は経済的な利益」の「贈与又は無償の供与」を行うもの、及び②有償譲渡において、譲渡対価が「時価と比して低いとき」において、当該差額のうち「実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額」とされています(※2)。すなわち、「対価性の有無」、「対価性がある場合、当該対価が時価に比して低いか否か」、「その場合、贈与や無償の供与と認定されるか否か」が重要な判断基準と言えます。
 
 実務的には、海外子会社への無利息での金銭の貸付(※3)、ノウハウ等といった無形資産を海外子会社に使用許諾している場合のロイヤリティの未回収、海外子会社へのサービス(人的役務)に対する役務提供対価の未回収などが代表的な例として挙げられます。国外関連者寄附金として全額損金不算入とされた場合、二重課税の解消が困難となることから注意が必要です。
 
 (※1)特措法66条の4第3項(※2)法人税法37条第7項、8項(※3)法基達9-4―1(子会社等の整理)、9-4-2(子会社等の再建)に該当する特別の取り扱いも存在します。
 
 
【国際税務教室】 BEPS(ベップス)プロジェクトとは何か
 最近、新聞や専門誌において「BEPS(ベップス)」という言葉を目にすることが増えました。一体、「BEPS」とはどのようなもので、わが国にはどのような影響があるのでしょうか。
 
 国際経済の発展のためには企業のグローバルな競争条件が公平となることが必要と考え、世界各国において、課税ルールの共通化や隙間のない課税権の確立に向けた取り組みが進められています。しかし、各国の税制がすべて統一されているわけではないことから、多国籍企業の場合、各国の税制のズレを利用することで課税所得を人為的に操作し、課税回避を行うことが可能となり得ます。このような課税回避を防止するためには、各国が連携して対応することが求められるとの視点から、OECD・G20を中心とした租税回避防止に向けた取り組みがなされています。これが「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクト」と呼ばれています。すなわち、BEPSとは課税回避を防止するために国際課税ルール全体を包括的に見直す国際的なプロジェクトと言えます。
 
 BEPSプロジェクトでは全15の具体的行動計画について、2014年9月の第一弾の報告書に続き2015年10月に最終報告書を公表することにより勧告を示しています。今後は、この勧告を踏まえ各国が制度構築を行う段階に移ることになりますが、わが国も第一弾の報告書に対応し、平成27年度・28年度の税制改正で国内法令の整備を始めています。
 
 このように、各国の国際課税の制度構築は国際的な潮流を踏まえた上で行われ始めており、わが国もBEPSの勧告に対応するかたちで国際課税の体系の再構築をスタートさせています。