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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 非居住者の確定申告における所得控除の範囲

 所得税法上、海外勤務等により非居住者とされる者においても、日本国内で生じた所得は課税の対象となります。所得税法においては、課税の方式として、自ら申告と納税を行う申告納税方式と源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税方式が採用されています。非居住者の課税方式は一般的に源泉分離課税方式とされますが、非居住者が不動産の貸付を行っている場合など、一定の場合には源泉分離課税ではなく申告納税方式によるものとされます。申告納税方式による場合には、非居住者であっても確定申告を行うことが必要となります。その場合、適用を受ける所得控除について迷う場合も少なくありません。

 非居住者が確定申告をする場合に適用ができる所得控除は、雑損控除(国内にある資産について生じた損失のみが対象とされます)、寄付金控除、基礎控除の三つに限定されています。しかし、非居住者のなかには年の途中で海外赴任をするなど、一年間の中に居住者期間と非居住者期間との両方を有する者もみられます。そのような非居住者の確定申告は、居住者の期間に生じた所得と非居住者の期間に生じた所得を合計して行うことになります(※)が、その場合には、居住者の期間に支払った医療費や社会保険料、生命保険料等の居住者期間の所得控除の額が控除の対象となります。また、扶養控除等の人的控除については、「納税管理人の届け出」を提出している場合にはその年の12月31日の現況で、届け出の提出がない場合には非居住者となった時の現況により判定をすることになります。
(※)非居住者となるまでの間に生じた所得についての確定申告の提出期限は、「納税管理人の届け出」の提出の有無により異なります。
 
 
個人事業継承税制の創設

 平成31年度税制改正大綱について、個人事業承継税制の創設が注目されています。法人の事業承継税制に続き、個人事業者についても、円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえ、10年間の時限措置で相続税・贈与税の納税を全額猶予できる制度を予定しております。

 個人事業承継税制は、不動産貸付業等を除き、一般個人事業だけにとどまらず、医業、士業及び農業などの幅広い業種を対象としており、事業用の土地や建物、機械等の一定の減価償却資産の課税価格に対応する相続税・贈与税の全額を猶予できる制度とされています。また、具体的な適用に当たっては、青色申告の承認を受けている個人事業者が、2019年4月1日から2024年3月31日までに、認定経営革新等支援機関の指導を受け、承継計画を都道府県に提出し、認定を受けた後、税務署へ相続税・贈与税の申告書等を提出することを想定しています。
 
 既存制度との関係について、農地には農地の納税猶予制度の適用を受け、農地以外の納税猶予の対象にならない部分の土地、建物や減価償却資産について、個人版事業承継税制の適用を受けるという両制度の併用を可能とする一方で、事業用の小規模宅地特例制度については、併用を不可とする点に留意する必要があります。また、猶予制度であることから、最終的に猶予税額の全額の「免除」を受けるには原則、後継者が廃業することなく、後継者が死亡するまで事業を継続すること等が必要となる為、長期的な視点から承継後の事業継続の見通しも考慮して、適用を受けるか否かの検討が必要となります。
 
【国際税務教室】 法定調書の提出義務の範囲(非居住者等への不動産賃料の支払)

 課税標準を的確に把握し適正・公平な課税を実現するための仕組みとして、特定の者に対する支払者に、支払の事実の内容を税務当局に提出するよう義務づける、法定調書制度が存在します。現在、法定調書は「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」、「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により60種ありますが、その中のひとつが「非居住者に支払われる不動産の使用料等の支払調書」(以下、「調書」とします。)です。当該調書は、非居住者や外国法人(以下、「非居住者等」とします。)に対して、不動産賃料の支払をする場合に提出が義務付けされますが、実務的に見れば、支店や駐在員事務所といった、日本法人の海外に所在する拠点が、国外に所在する不動産の賃料を非居住者等に対して支払う場合の調書の提出義務について迷う場合も見受けられます。

 当該調書は、非居住者等に対して、国内において、国内で発生する所得(以下、「国内源泉所得」とします)の支払をする者に提出が義務付けられています(※1)。不動産貸付による賃料について見れば、国内にある不動産の貸付による対価が国内源泉所得に該当すること(※2)から、日本国外に所在する不動産貸付による賃料は、(国外源泉所得に該当し)国内源泉所得に該当しません。したがって、日本法人の国外に所在する支店や駐在員事務所が支払う、日本国外で賃借する不動産の賃料については、当該不動産貸付による賃料が国内源泉所得に該当しないことから、支払先が非居住者等であっても、賃料の支払者には調書の提出義務はないことになります。
 
(※1)所得税法225条1項八号 (※2)所得税法161条1項七号
 
 
民法改正が相続に与える影響(相続・遺言関連)

 民法のうち相続法の分野については、40年間にわたり大きな見直しはされてきませんでしたが、配偶者保護(前回執筆)と合わせて、遺言の利用促進や、相続をめぐる紛争防止等の観点から、自筆証書遺言の方式を緩和するなどの大幅な改正が行われています。

1.自筆証書遺言の作成方式の緩和(2019年1月13日施行)
 自筆証書遺言は全て自筆する必要がありましたが、遺言書に添付する相続財産の目録について、パソコンで作成した目録や通帳のコピーを添付することによって自筆証書遺言を作成することができるようになりました。
 
2.法務局における自筆証書による遺言書の保管制度の創設(2020年7月10日施行)
自筆証書遺言書は自宅で保管されることが多く、紛失並びに破棄及び改ざんの恐れがありました。そのため、自筆証書遺言をより利用しやすくするため、法務局で自筆証書による遺言書を保管する制度が創設されました。
 
3.特別寄与制度の創設(2019年7月1日施行)
 相続人ではない親族も、無償での被相続人の介護や看病及び被相続人の財産の形成に貢献した場合には、相続人に対し、金銭の請求をすることができるようになりました。
 
4.預貯金の払い戻し制度の創設(2019年7月1日施行)
 生活費や葬儀費用等の当座の資金需要に対応すべく、遺産分割前にも預貯金債権のうち一定額については、家庭裁判所の判断を経ずに金融機関で払戻しができるようになりました。
 
【国際税務教室】 日数計算の仕方(期間の計算)

 日本と海外を行き来する者について所得税の取り扱いをみれば、その者が居住者に該当する場合には、全世界の所得に対して課税がなされ、非居住者に該当すれば、日本国内の所得についてのみ課税を受けることになります。所得税法上、居住者とは、国内に住所(※1)を有するか、もしくは1年以上の居所を有する者とされることから、例えば、日本に入国する外国人の課税関係についてみれば、日本に住所を有するに至っていない外国人の場合、原則として入国してから1年を経過する日までは非居住者に該当し、1年を経過する日以降は居住者に該当することになります。この場合の1年とは、いつから起算して計算を行うのか、すなわち、入国日が計算期間に含まれるのか否かについて、迷う場合も少なくありません。

 国税に関する税法の適用における期間の計算は、原則的には国税通則法の定めに基づいてなされます。それによれば、「期間の初日は、算入しない」(国税通則法第10条)とされていることから、初日となる入国日は期間の計算に算入されず、入国日の翌日から起算されます。
 
 他方、各国が国際的二重課税の防止等を目的として二国間で締結する租税条約においても、給与所得の短期滞在者免税(いわゆる「183日ルール」)の規定では、滞在日数について期間の計算が必要とされます。この場合の滞在日数の計算は、その国での滞在日数はすべて含めるように計算されることが一般的です。したがって、その場合には、一日未満の滞在や入国日、出国日も一日として計算されることになります(※2)
(※1)生活の本拠を指します。(※2)国税庁HP質疑応答事例(源泉所得税関係)参照。