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税理士法人 成和新着情報

法人税法第22条の2の創設

 収益認識会計基準の導入を受けて、法人税法第22条の2が創設されました。法人税法第22条の2において、収益の額は、別段の定めがあるものを除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することが定められました。

 一方で、収益認識会計基準に対応する消費税法の改正が行われていないことから、取引によっては法人税と消費税の間で、計上時期及び計上額が乖離する可能性がある点に注意が必要です。例えば、収益の計上単位について、収益認識会計基準は「履行義務単位」で計上するとしており、法人税もこれを踏襲する一方で、消費税は従前の通り原則として「取引単位」で収益を計上することとなります。
 
 そのため、商品の販売と保守サービスが混在する契約で、それぞれの対価が合理的に区分されていない場合には、法人税については、商品の販売は引渡し時点で、保守サービスはサービスの提供期間にわたり履行義務を充足すると判断して、その提供期間に応じて収益を認識します。しかし、消費税は「取引単位」で収益計上することから、商品の販売と保守サービスともに引渡し時点において収益計上することとなります。
 
 また、収益認識会計基準は、平成33年4月1日以後開始事業年度からの強制適用となりますが、法人税法第22条の2は、平成30年4月1日以後「終了」事業年度からと、収益認識会計基準に先んじて適用となっている点についても留意が必要となります。
 
 
【国際税務教室】 国際観光旅客税の創設

  観光立国の実現に向けた施策が推進される中、観光基盤の拡充・強化を図るための財源の確保を目的として、平成30年度税制改正により国際観光旅客税が創設されました(※1)。これにより、2019年(平成31年)1月7日以後に日本から出国する旅客(以下、「国際観光旅客」とします)には、出国1回につき1,000円の納付が義務付けられます。国際観光旅客税は、原則として、航空会社等の国際旅客運送事業者が、チケット代金に上乗せする等の方法で、納税義務者である国際観光旅客から徴収し、国に納付するといった特別徴収制度が適用されます。

 国際観光旅客税は、出国の目的を問わず課税されることから、訪日する外国人だけではなく、観光以外の目的で出国する日本人も、出国に際して納付が義務付けられます(※2)。したがって、会社の従業員が海外へ出張を行う場合においても、納付が必要となります。従業員が納付義務を負う国際観光旅客税を、会社が負担した場合の課税関係はどのようになるのでしょうか。所得税法上、従業員の出国が業務の遂行上必要なものである場合には、会社が負担した国際観光旅客税は旅費として非課税とされ、それ以外の場合には給与として課税所得となります。他方、法人税の取り扱いを見れば、業務の遂行上必要なものである場合には旅費交通費として、それ以外の場合には給与とされることから、いずれの場合にも損金の額に算入されるものとなります(※3)
 
(※1)国際観光旅客税法(平成30年法律第16号)
(※2) 訪日外国人約2,400万人/年、出国する日本人約1,700万人/年の合計おおよそ4,100万人/年が納税義務者となるものと見込まれます。
(※3)「国際観光旅客税に関するQ&A」平成30年4月 国税庁消費税室
 
 
新事業継承 - 拡充内容 -

 平成30年度税制改正において、自社株の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大幅に拡充されました。主要な拡充内容とその注意点については以下の通りとなっております。

 1.対象株式:全株式が対象
 2.納税猶予割合:贈与・相続ともに100%猶予
 3.後継者:最大3名
 4.受贈者:先代経営者を含めた複数の株主
 5.納税猶予の条件:80%雇用継続要件が実質的に撤廃(理由書の提出が必要)
 6.譲渡、解散及び合併による納税猶予額の減免
   :一定の経営状況悪化による株価の下落について、下落幅に対する納税は免除
 
 事業を継続することにより、実質的に納税が免除される新事業承継税制ですが、問題点もあります。それは、上記3の場合、複数の後継者へ株式が分散されることにより企業統治が不安定化する恐れがあることです。また、先代経営者一族でない後継者が自社株の贈与を受けた場合には、先代経営者の相続発生時に、当該後継者も相続税申告義務者となることから、一族にとって一族でない後継者へ財産開示をしなければならないということも挙げられます。
 
 そのため、上記5、6によって事業継続リスクについて緩和措置があるものの、拙速な判断により「猶予」である新事業承継税制を利用するのでははなく、他の相続税対策も含めた多角的な対策を俎上に載せて検討することが求められます。
 
【国際税務教室】 企業グループ内役務提供(IGS)とは

  国税庁は多国籍化した企業グループ内で行われる役務の提供(IGS:Intra-Group Service 以下、「企業グループ内役務提供」とします)に係る取り扱いを整備するため、「移転価格事務運営要領(事務運営指針)」(以下、「指針」(※1)とします)の一部を改正しました(※2)。この改正はOECDの移転価格ガイドラインがBEPSに関する行動計画により改訂されたことを受け、それとの整合性を図ることを目的としています。 

 多国籍化した企業グループにおいては、経営や財務・労務の管理、営業・購買・物流の支援、経理等の事務といった業務を、グループ内部で相互に提供する活動が散見されます。このような幅の広い活動(※3)は企業グループ内役務提供とよばれ、移転価格税制上、当該活動に有償性が存在する場合には、当該活動に係る適正な対価を提供先のグループ企業から回収する必要が生じます。指針によれば、この場合の有償性は、当該活動に「経済的又は商業的価値」があるか否かで判断することになります。その場合、①株主活動(株主としての地位を有する法人が、専ら自らの為に行う法令上の権利の行使又は義務の履行に係る活動)、及び②重複活動(役務の提供を受ける会社が自らのために行う活動と重複する活動)の二つの活動には、経済的又は商業的価値はないものと判断されます。移転価格税制上、指針の内容を把握し正確な判断が必要です。
 
(※1)指針は国税庁が下位の官庁(国税局、税務署)に向けて発する内部規則でありますが、この規則に従って実際の税務調査が実施されることから、実務的には重要なものと位置づけられています。
(※2)平成30年(2018年)2月16日付
(※3)指針においては11項目の活動が挙げられています。
 
 
新事業継承税制 - 手続要件 -

  平成30年度税制改正において、自社株の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大幅に拡充されました。適用要件が大幅に緩和された上、自社株に対する納税が100%猶予されるという、自社株の税負担に悩む経営者にとっては事業承継の絶好の機会となりますが、その適用に当たり、各段階における諸手続きを失念してはいけない点に注意が必要です。

 新事業承継税制の事前手続きとして、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受け、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県庁(以下、「管轄都道府県庁」)に、「特例承継計画(確認申請書)」を提出(注)する必要があります。
 
 (注)特例承継計画を都道府県に提出する前に先代経営者が死亡した場合であっても、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの期間であれば、特例承継計画を事後的に提出することも認められています。
  
 その後、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に、贈与(当該期間における相続を含む。)により先代経営者等から後継者へ自社の株式を承継することになりますが、その際には「認定申請書」を管轄都道府県庁へ提出しなければなりません。そして、その認定申請書の写しを贈与税・相続税の申告書に添付し、税務署へ申告手続きをすることによって、納税猶予が受けられることになります。
 
 なお、贈与税・相続税の申告期限後5年間は、管轄都道府県庁には「年次報告書」を、税務署には「継続届出書」をそれぞれ年1回提出する必要があり、6年目以降は、3年毎に税務署へ「継続届出書」を提出する必要があります。