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税理士法人 成和新着情報

帳簿・請求書等の保存

 会計帳簿や請求書、領収書等の証憑類が増え、保管場所に悩む会社も多いと思われます。電子帳簿保存法により電子ファイルでの保存が認められるようになりましたが、厳格な要件を満たさなければならないこともあり、依然として紙で保存をされている会社が大半です。それでは、これらの帳簿及び書類(注、以下「帳簿等」とします。)の保存は、いつまで必要なのでしょうか。

 (注)帳簿の例として、総勘定元帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などが挙げられ、書類の例として、注文書、契約書、領収書、棚卸表、貸借対照表、損益計算書などが挙げられます。
  
 まず、会社法では、帳簿等は決算期末から10年間保存しなければならないとされています。
 
 次に、法人税法では、帳簿等はその事業年度の確定申告書の提出期限から7年間保存しなければならないとされています。ただし、青色申告を提出している場合で、平成20年4月1日以後に終了した事業年度に欠損金がある場合には、帳簿等の保存期間は9年間になります。ちなみに、帳簿等の保存は青色申告の要件の一つであることから、これを満たさなければ青色申告の取消事由に該当する点に注意が必要です。
 
 また、消費税法では、仕入税額控除の適用を受けるための要件として、帳簿等を課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存(6,7年目については、帳簿または書類のいずれか一方のみの保存だけでも可能)しなければならないとされています。
 
 なお、過去の判例上、帳簿等の「保存」とは、災害その他やむを得ない事情を除き、税務調査等に当たり適時に「提示」することが可能な状態にあることとされています。
 
 
【国際税務教室】 複雑化する相続税・贈与税の納税義務(平成30年度税制改正)

 相続税、贈与税の納税義務に関して、平成30年度税制改正において見直しが図られます。平成12年度、25年度、29年度に引き続いての改正となり、複雑さが増しています。

 相続税、贈与税の納税義務者は、相続・遺贈や贈与により取得したすべての財産について納税義務を負う無制限納税義務者と、取得した財産のうち日本国内にあるものについてのみ納税義務を負う制限納税義務者に区分されます。従来、この区分は財産を取得したときに、その者が日本国内に住所をもっているか否かで判別されていました。それにより、住所を国外へ移すことによる租税回避が頻発し、それらの抑制を目的に見直しが繰り返されてきました。
 
 他方、繰り返された納税義務の見直しにより、例えば、海外から日本に赴任する外国人といった、一時的に日本に滞在する外国人に相続が発生した場合、日本に居住したこともない相続人が取得した国外財産も相続税の課税対象となることから、問題とされてきました。このような弊害を取り除くべく、平成29年度の税制改正で一定の外国人を短期滞在の外国人(※1)として、相続が生じたときに相続人及び被相続人が短期滞在の外国人に該当する場合は、国内財産のみを課税対象とする措置が講じられ、平成30年度改正では当該部分がさらに緩和される予定です(※2)。複雑化する相続税・贈与税の納税義務への正しい理解が必要となります。
 
(※1)出入国管理及び難民認定法別表一の在留資格を有し、過去15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下の者、もしくは、日本国籍のない者で、過去15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下の者。(※2)贈与税については、一部、租税回避防止を目的とした取り扱いが講じられる予定です。
 
 
医療費控除における提出書類の簡略化

 平成30年1月1日以後において、平成29年分以降の所得税につき、医療費控除の適用を受ける場合に必要な提出書類の簡略化が図られています。簡略化の内容は2点あります。

 一つ目に、医療費の領収書の添付が不要となりました。一方で、「医療費控除の明細書」の添付が必須となり、領収書は自宅等での保存が求められるようになっています。ただし、経過措置として平成29年分から平成31年分までは、領収書の添付又は提示するという従来の方法も認められています。なお、領収書の保存期間は確定申告期限等から5年間であり、当該期間中に税務署からこれを求められたときは、領収書を提示又は提出しなければならない点に注意が必要です。
 
 二つ目に、医療保険者から交付を受けた医療費通知を申告書に添付した場合には、上記の「医療費控除の明細書」の記載が省略できることになりました。具体的には健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」等が挙げられますが、医療費控除の明細書の記載が省略できる医療費通知とは、次の①から⑥に掲げる6項目が記載されている必要があります。
 
 ① 被保険者等の氏名 ② 療養を受けた年月 ③ 療養を受けた者
 ④ 療養を受けた病院、薬局等の名称 ⑤ 被保険者等が支払った医療費の額 ⑥ 保険者等の名称
 
 この6項目を「医療費のお知らせ」等に記載するか否かは、発行者である各医療保険者に委ねられています。そのため、全ての「医療費のお知らせ」等が医療費控除の明細書の記載が省略できる書類として利用できるものではないことに注意が必要です。
 
【国際税務教室】 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換(CRS)制度

 国際基準に従って、非居住者の金融口座情報を各国の税務当局との間で自動的に交換する制度(「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度」)が、今年(平成30年)からスタートします。

 経済のボーダレス化が一層の進展を見せる中、国際的な脱税や租税回避に対処するためには国外の情報の入手が重要となります。従来から、各国の税務当局は二国間の租税条約を締結し、租税に関する情報を互いにやり取りする仕組みを設け、運用してきました。OECDでは、このような仕組みに対して、金融機関の事務負担を軽減しつつ、効率的な情報交換を行う事を目的として、非居住者の金融口座の特定方法や情報の範囲等を共通化するための国際基準-「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」(以下、「CRS」とします。)を策定しています。わが国もCRSに従った自動的情報交換の制度が、今年から開始することになります。
 
 具体的にみれば、各国の税務当局はそれぞれ自国に所在する ①金融機関から、②非居住者の金融口座情報((ⅰ)口座保有者の氏名、(ⅱ)住所、(ⅲ)居住地国、(ⅳ)外国の納税者番号、(ⅴ)口座残高、(ⅵ)利子、配当等の年間受取総額等)の報告を受け、これら情報を各国の税務当局と自動的に交換します。
 
 現在、日本を含む100以上の国・地域がCRSに従った情報交換を開始すると表明しており、当局間の合意形成の上、実施されます。したがって、今年以降は、日本の居住者が外国に開設した金融口座の情報はこのCRSに従った自動的情報交換により、外国の税務当局から日本の税務当局に自動的に提供されます。前述のとおり、交換される情報には利子、配当等の年間受取総額といった情報も含まれることから、申告漏れを起こさないような対応が必要といえます。
 
 
事業承継税制の現状と今後

  今後の税制改正の原案となる平成30年度税制改正大綱が、先月22日に閣議決定されました。今回の税制改正大綱の目玉の一つが「事業承継税制の拡充」です。平成21年に創設された事業承継税制は、事業承継の円滑化を趣旨として、中小企業の株式に係る相続税や贈与税の納税が大幅に猶予・減免されるものであり、今回予定されている拡充内容は以下の通りです。

1. 納税猶予対象が100%へ拡充
 納税猶予の対象となる株式数が2/3から制限なしに、納税猶予される割合が80%から全額に引上げられます。ただし、施行日後5年以内に認定革新支援機関の指導・助言を受け、後継者や経営見通し等が記載された承継計画を作成する必要があります。
 
2. 経営者以外の株主から贈与等された株式も納税猶予対象に
 後継者が経営者以外の株主から贈与等を受けた場合にも納税猶予の対象となり、更に納税猶予の対象となる後継者が、1名から複数名に拡充されます。
 
3. 納税猶予の条件としての雇用確保要件の緩和
 従業員の雇用確保要件を満たすことができなかった場合であっても、一定の書類を都道府県に提出することを条件として猶予期限が延長されます。
 
4. 経営環境が変化した場合の減免制度
 経営環境が悪化(一定の条件あり)して、株式を譲渡するとき、又は合併・解散によって会社が消滅するとき等には、納税猶予税額が免除されることになりました。