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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 企業グループ内役務提供(IGS)とは

  国税庁は多国籍化した企業グループ内で行われる役務の提供(IGS:Intra-Group Service 以下、「企業グループ内役務提供」とします)に係る取り扱いを整備するため、「移転価格事務運営要領(事務運営指針)」(以下、「指針」(※1)とします)の一部を改正しました(※2)。この改正はOECDの移転価格ガイドラインがBEPSに関する行動計画により改訂されたことを受け、それとの整合性を図ることを目的としています。 

 多国籍化した企業グループにおいては、経営や財務・労務の管理、営業・購買・物流の支援、経理等の事務といった業務を、グループ内部で相互に提供する活動が散見されます。このような幅の広い活動(※3)は企業グループ内役務提供とよばれ、移転価格税制上、当該活動に有償性が存在する場合には、当該活動に係る適正な対価を提供先のグループ企業から回収する必要が生じます。指針によれば、この場合の有償性は、当該活動に「経済的又は商業的価値」があるか否かで判断することになります。その場合、①株主活動(株主としての地位を有する法人が、専ら自らの為に行う法令上の権利の行使又は義務の履行に係る活動)、及び②重複活動(役務の提供を受ける会社が自らのために行う活動と重複する活動)の二つの活動には、経済的又は商業的価値はないものと判断されます。移転価格税制上、指針の内容を把握し正確な判断が必要です。
 
(※1)指針は国税庁が下位の官庁(国税局、税務署)に向けて発する内部規則でありますが、この規則に従って実際の税務調査が実施されることから、実務的には重要なものと位置づけられています。
(※2)平成30年(2018年)2月16日付
(※3)指針においては11項目の活動が挙げられています。
 
 
新事業継承税制 - 手続要件 -

  平成30年度税制改正において、自社株の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大幅に拡充されました。適用要件が大幅に緩和された上、自社株に対する納税が100%猶予されるという、自社株の税負担に悩む経営者にとっては事業承継の絶好の機会となりますが、その適用に当たり、各段階における諸手続きを失念してはいけない点に注意が必要です。

 新事業承継税制の事前手続きとして、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受け、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県庁(以下、「管轄都道府県庁」)に、「特例承継計画(確認申請書)」を提出(注)する必要があります。
 
 (注)特例承継計画を都道府県に提出する前に先代経営者が死亡した場合であっても、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの期間であれば、特例承継計画を事後的に提出することも認められています。
  
 その後、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に、贈与(当該期間における相続を含む。)により先代経営者等から後継者へ自社の株式を承継することになりますが、その際には「認定申請書」を管轄都道府県庁へ提出しなければなりません。そして、その認定申請書の写しを贈与税・相続税の申告書に添付し、税務署へ申告手続きをすることによって、納税猶予が受けられることになります。
 
 なお、贈与税・相続税の申告期限後5年間は、管轄都道府県庁には「年次報告書」を、税務署には「継続届出書」をそれぞれ年1回提出する必要があり、6年目以降は、3年毎に税務署へ「継続届出書」を提出する必要があります。
 
【国際税務教室】 国外財産調書の提出義務者

  経済及び社会のボーダレス化により国外財産の保有が増加傾向にある中、当該国外の財産にに係る所得税や相続税の適正な課税の実現を目的として、平成26年から国外財産調書制度がスタートしています。当該制度は、その年の12月31日において5,000万円を超える国外財産を有する非永住者以外の居住者に、保有する国外財産の調書を翌年3月15日までに所轄税務署へ提出することを義務づけるものですが、その提出状況をみると、平成26年分 提出件数8,184件・総財産額3兆1,150億円、平成27年分 8,893件・3兆1,643億円、平成29年分 9,102件・3兆3,015億円と、年を追うごとに提出件数、総財産額ともに増加傾向にあります。

 当該制度には、① 調書に偽りの記載をして提出をした場合に加えて、② 正当な理由なく提出期限内に提出をしなかった場合に対して、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するとした罰則規定が設けられていることが、特徴的といえます(※1)
 
 当該調書の提出義務者は、5,000万円超の国外財産を有する所得税法上の「非永住者以外の居住者」とされています。「非永住者」とは、居住者のうち、日本国籍を有しておらず、かつ過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人をいいます(※2)。したがって、日本に在住する者の場合、外国人であっても、過去10年以内における日本国内の住所又は居所を有していた期間の合計によっては、非永住者とはならない(非永住者以外の居住者となる)場合もあることから、当該調書の提出義務について注意が必要です。
(※1)情状により刑を免除できるとされています。(※2)所得税法第2条第1項第四号
     
 
所得拡大促進税制に係る改正

  所得拡大促進税制について、法人は平成29年4月1日以後開始事業年度(個人事業主は平成30年分)から、適用要件が改正され、税額控除額は上乗せ措置が講じられております。

1.中小企業者等
 ①雇用者給与等支給額の増加額が前年度の雇用者給与等支給額の
       2%以上の場合
  →雇用者給与等支給増加額の10%に加えて、当期の雇用者給与
           等支給額から前期の雇用者給与等支給額を控除した額(注)
           12%を税額控除額に上乗せ
 ②雇用者給与等支給額の増加額が前年度の雇用者給与等支給額の
       2%未満の場合
  →雇用者給与等支給増加額の10%を税額控除
 
2.中小企業者等以外
 ①雇用者給与等支給額の増加額が前年度の雇用者給与等支給額の
        2%以上の場合
  →雇用者給与等支給増加額の10%に加えて、当期の雇用者給与
           等支給額から前期の雇用者給与等支給額を控除した額(注)
           2%を税額控除額に上乗せ
 ②雇用者給与等支給額の増加額が前年度の雇用者給与等支給額の
       2%未満の場合
  →税額控除の適用なし
 
 なお、従来からの適用要件(「雇用者給与等支給増加額」の「基準雇用者給与等支給額」に対する割合が一定の率を超えること、当期の「雇用者給与等支給額」が前期の「雇用者給与等支給額」以上であること)については変更はありません。     
 
【国際税務教室】 移転価格税制に係る調査必要度の判定

  国家間の課税権の適正な調整のためには、移転価格税制の適切な執行が必要とされます。移転価格調査は長期間にわたることも多く、また調査の結果、多額の課税額となることもあり、納税者にとって負担となります。他方、移転価格課税により生じた国際的二重課税には、租税条約を根拠とした税務当局間の相互協議といったプロセスが用意されていることから、当事者からの申立てに基づき、両国の税務当局の協議による合意解決が図られます。しかし、それには長期間を要する場合があり、税務当局にとっても負担となります。このように移転価格税制の執行は納税者と税務当局の両者にとって、大きな負担とならざるを得ない側面があります。

 国税庁はどのような方針のもとに、移転価格調査の必要性を判定しているのでしょうか。その考え方が、平成29(2017)年6月に国税庁から公表された「移転価格ガイドブック」に記載さています。ガイドブックでは ①内国法人が赤字又は低い利益水準となっていないか、②国外関連者の利益水準が高くなっていないか、③国外関連者への機能・リスクの移転などの取引形態を変更している一方、それに伴い適切な対価を授受していないこと等が想定されないかなど、6つの観点を例にあげ、納税者と国外関連者の機能・リスクも勘案しつつ、多角的に検討を行うことにより、調査の必要度の判定を行うとしています。
 
 調査をする側も、受ける側も負担が大きいとされる移転価格調査。対象とならないように企業による自発的なコンプライアンスの維持・向上が重要とされ、そのような自主的な対応を支援するため、各国税局に相談窓口が設置されるなど、積極的な施策が講じられています。