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税理士法人 成和新着情報

エヌエヌ生命に行政処分~終わらない節税保険封じ

 金融庁は2月17日、エヌエヌ生命保険(本拠地:オランダ)に対し保険業法に基づく業務改善命令を下したことは記憶に新しいでしょう。

 今回問題とされたのは「名義変更プラン」と呼ばれるもので、これは、多額の死亡保険金を受け取れる保険契約を当初法人名義で締結し高額な保険料を支払ったのちに、名義を経営者個人に変更したうえで譲渡・解約をすることで支払った保険料の大部分を経営者個人が所得税の計算上有利(通常の給与課税に比べ)な一時所得で受け取れる仕組みである。

 行き過ぎた節税を前面に出す保険商品の販売が相次ぐ中、2019年2月に国税庁が税務上の取扱いを見直す方針を示したことで、大手生命保険会社は節税商品の販売を停止した。その後に、この「名義変更プラン」が考え出され、一部の保険会社で販売が開始されたが、国税庁も黙ってはおらず、2021年6月に通達改正により実質的にこれを封じた。

 それにもかかわらず、変わらずに節税を謳った保険商品を販売していたとして、金融庁はマニュライフ生命、SOMPOひまわり生命、FWD生命、エヌエヌ生命の4社に対し立ち入り検査を実施し、特に悪質性が高いとし昨年7月にマニュライフ生命に業務改善命令が下され、今年2月のエヌエヌ生命は2例目となっている。

 以前から、保険を節税目的で販売していることに強く違和感を持っておりましたが、国税庁は法令によりこれを封じ、金融庁は立ち入り調査により処分を下すようになってきている流れのなかで、保険本来の趣旨は何だったのかを再確認するいい機会なのかもしれません。

 
 
【国際税務教室】 外国子会社合算税制における「異常所得」

  外国子会社合算税制(いわゆる タックスヘイブン対策税制)では、ペーパーカンパニーではなく実際に経済活動を行っている海外子会社(以下、「経済活動基準を満たす子会社」とします)においても、租税負担割合が20%未満の場合には、受動的所得に対する部分合算課税が適用されます。

 受動的所得とは、配当や利子、有価証券の譲渡、有形固定資産の貸付、無形資産の使用料や譲渡など、11の項目とされています(※1)。当該11項目の中には、異常所得と呼ばれている所得が含まれています。異常所得とは、当該事業年度の所得の金額から、異常所得以外のすべての受動的所得を控除した残額から、一定の金額(※2)を控除した金額とされます。

 外国子会社合算税制においては、受動的所得が2,000万円以下の場合には合算が免除されます。したがって、税負担が20%未満となる国に、経済活動基準を満たす子会社が所在しているケースにおいて、配当や利子などの受動的所得が2,000万円以下となっている場合には、合算が免除されることから、実務上、外国子会社合算税制の適用について、気に留めない場合も少なくありません。しかし、当該海外子会社が保有する不動産等を譲渡するなどして、多額の譲渡益を計上するなどした事業年度においては、異常所得について検討を行う必要があります。すなわち、多額の固定資産譲渡益などが計上されることにより、異常所得の金額が2,000万円を超える場合、当該異常所得はその他の受動的所得と合わせて、部分合算課税の対象とされることから注意が必要です。(※1)措法66条の6第6項。(※2)総資産の額として政令で定める金額に人件費その他の政令で定める費用の額を加算した金額に百分の五十を乗じて計算した金額。

 
 
肉用牛売却所得の課税特例措置と国民年金保険料

  肉用牛売却所得の課税特例措置(※)とは、肉用牛生産農家が経営体質を強化し、国産牛肉の安定的な供給を図っていく観点から措置されている制度です。

 具体的には、一定の肉用牛を売却したときに売却証明書が発行され、その証明書を確定申告の際に提出することにより、1頭あたり100万円(交雑種80万円、乳用種50万円) 未満であれば、年間の売却頭数が1,500頭まで、所得税や住民税が免除されるというものです。

 例えば農業所得100万円のうち、そのすべてが免税の特例を受けられる場合、免税所得が100万円となるため、所得金額は100万円-100万円=0円となります。

 この制度の適用を受けた場合、通常の所得金額から免税分を控除した金額が確定申告書に記載されるため「雑損控除や医療費控除などの控除額の計算の基礎となる総所得金額は免税金額を控除した金額で判断するのか?」のような質問をよく受けますが、答えはNOです。

 これら判断をするときは、免税金額控除後の所得金額ではなく、通常(控除前)の所得金額で判断されるからです。国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の算定の基礎のなる所得金額も同様に、通常の所得金額で計算されます。

 しかし国民年金保険料の減免申請をする場合には、所得金額からこの免税所得を控除した金額で判断することとされている(国民年金法施行令第6条の12第2項第3号)ため、この制度を受けている農家さんの中には国民年金保険料の減免を受けられる人もいるかもしれませんね。

 ※租税特別措置法25条

 
 
【国際税務教室】 外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し (令和5年度税制改正大綱)

  新型コロナウィルス感染症の影響で大きく減少した外国人旅行者ですが、水際対策の段階的な緩和に応じて急速な回復を見せています。折からの円安も背景にして、インバウンド消費による経済効果に期待が高まっています。インバウンド消費の拡充を目的とした施策のひとつに、外国人旅行者向け消費税免税制度があります。

 この制度は、外国人旅行者等の非居住者が、土産品等として国外へ持ち帰る目的で輸出物品販売場において、免税対象物品を一定の方法により購入した場合は、実質的には輸出と同質であることから、その購入に係る消費税が免除されるといったものです。

 そのような中、外国人旅行者向け消費税免税制度によって購入した物品を、ブローカーやネットなどを利用して国内転売するといった不正が問題視されていました。この点について、令和5年度税制改正大綱で課税の強化が図られています。

 具体的にみれば、免税購入された物品の税務署長の承認を受けない譲渡又は譲受けがされた場合には、当該物品を譲り受けた者に対して譲り渡した者と連帯してその免除された消費税を納付する義務が課されるとされています(※)

 免税購入する物品は、購入者自身が土産物等として国外に持ち帰る目的で購入し、確実に国外に持ち出す必要があることに注意が必要です。

(※)2023年(令和5年)5月1日以後に行われる課税資産の譲渡等に係る税務署長の証人を受けない譲渡又は譲受けについて適用されます。

 
 
分割払いのスマートフォン代金について

  携帯料金の請求書をじっくり見られたことはありますか。

 今回は、分割購入と消費税の話をしたいと思います。スマートフォンは10万円を超えるものも珍しくないため、購入する際に分割払いを選択するケースが多いのではないでしょうか。

 例えば端末代金が12万円である場合、24回分割のときは、月々の賦払金は5,000円となり、これが通話料に合算して請求されます。この賦払金ですが、請求書をよく見ると消費税が「不課税」となっていることに気付かれると思います。これは、賦払金はローンの元本・利息の支払いであるからです。

 しかし、毎月賦払金を含めた請求額全額を課税仕入れとしているケースが実務上多いのではないでしょうか。この処理では、請求書の記載事項と消費税の取扱いは異なることになりますが、購入時に課税仕入れの処理をしていないため、あまり問題にはなっていないようです。

 しかし、インボイス開始後は、この処理は認められないと考えられます(2023年1月31日現在)。なぜなら販売会社は販売時に売上を認識しインボイスを交付することになるため、購入者はこの時点で課税仕入れを認識しなければならず、勝手に賦払金支払い時の課税仕入れとすることはできないからです。

 リース契約で使用する資産についても類似の問題がありますが、賦払時の経費とする経理処理を採用している事業所は、インボイス開始後には賦払金を課税仕入とすることができなくなるため、その手当は為されるのか、今後の議論を注視したい。