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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 在留資格と納税義務の範囲

  政府により外国人労働者の受入れが推進されていることもあり、外国人労働者が増加傾向にあります。就労する外国人労働者の納税義務を考える場合、迷う場合も少なくありません。

 所得税法上、居住者は全世界所得課税であるのに対して、非居住者は国内源泉所得のみが課税対象とされます。すなわち、納税義務者のステータスにより課税の範囲は異なります。所得税法上、居住者・非居住者の判定(以下、「居住形態の判定」とします)は何でされるのでしょうか。

 外国人は、出入国管理及び難民認定法により、入国審査官から与えられた在留資格に定められる活動内容と在留期間に従って、日本に在留することになります。したがって、適法な就労を前提とすれば、外国人労働者は、在留資格により認められた活動範囲と在留期間の中で就労していることから、在留資格を基準として、当該外国人労働者の居住形態の判定を行おうとするケースも目にします。しかし、居住形態の判定と在留資格との間には、直接的な関係はありません。したがって、居住形態の判定は、在留資格の有無や在留資格に定められる活動範囲と在留期間により、画一的にされるものではありません。居住形態の判定は、その者の「住所(※1)」もしくは「居所(※2)」の有無によってなされます。裁判例によると、それらは、その者の職業、居住する場所、家族の状況等も踏まえた総合的な判断によるとされています。したがって、在留資格は、居住形態の判定に際してひとつの基準となり得ますが、それのみで居住形態の判定がなされるものではありません。(※1)民法上の「住所」借用概念とされ、「生活の本拠」を指します。(※2)「生活の本拠」ではないが、相当期間継続して居住するところを指します。

 
家族分の医療費は控除できる?(医療費控除)

 1年間で支払った医療費の額(保険等で補填された部分を除く)が10万円(※1)を超える場合には、確定申告をすることで医療費控除が受けられます。

 1人では10万円を超えていなくても、家族全体の医療費を合算すれば10万円を超えるような場合、それらを合算して医療費控除が受けられる・・・と一般常識(?)になっているように思われますが、法律ではどのように書かれているのかを確認します。

 「居住者(納税者)が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合・・・その年分の総所得金額から控除する」(所法73)と書かれています。この条文を文字通り解釈すれば、自己又は家族の医療費を「納税者自身が支払った場合」と規定されているので、家族が支払ったものは控除できないということになります。

 しかし、実際はどうでしょうか?親族が支払った医療費も、納税者自身が支払った医療費と合計して医療費控除を受けられます。これは、生計を一にする配偶者その他の親族が支払った医療費であっても、生計が一(財布は一つ)であるため、結局のところ、納税者自身が支払ったものと同一であるという考え方からの実務上の取り扱いであると考えられます。

 一方で、親族の財布から支払ったことが明らかなもの(インプラント代金を支払うために、その親族の通帳からお金を引き出している場合など)は、合算できないと医療費控除が否認された例もありますので、医療費を合算するときは注意が必要です。(※1その年分の総所得金額の100分の5に相当する金額が10万円以下である場合には、その100分の5に相当する金額)。

 
 
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高所得者は住宅ローン控除で得をする?

  いわゆる「住宅ローン控除」とは、個人が住宅ローンを利用して住宅の新築等をした場合に、一定の要件を満たせば、その住宅ローンの年末残高の1%(最大40万円)を所得税などから控除できる仕組みである。

 この制度は昭和47年に始まり(当初は「住宅取得控除制度」と呼ばれ、住宅ローンの有無の関係なく床面積に応じ控除額は最高2万円(最大3年)というものであった)、昭和61年には住宅ローンの年末残高を基準とする方式になり、その後も改正が繰り返され、今日の制度に至ります。

 低金利時代の今日において、この年末残高に1%を乗じた金額を控除する…という点について、実際には0.5%程度であるにもかかわらず、1%も控除することの妥当性について、会計検査院が調査したところ、住宅ローン控除を受けた者の適用金利が1%未満であるケースが約8割もあることを確認し、政府もこれを真摯に受けとめ、令和3年度税制改正大綱(2020年12月10日)において今後の議論の対象とした。これにより、住宅ローン控除は年末残高の1%ではなく、実際の支払利息額を上限とする制度へ変わってゆくでしょう。

 この改正が行われれば、例えば、本来住宅ローンを組む必要のない者(親から全額無利息で借りれる者や、潤沢な自己資金がある者など)が、逆ザヤを得るために住宅ローンを組むということができなくなるため、筆者は会計検査院の指摘に納得をしているところです。

 
 
【国際税務教室】 所得拡大税制の対象となる雇用者の範囲 

  個人の所得の拡大を図ることを目的とした、企業が給与等の増加額に応じて控除を受けることができる税制の特例措置(給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除 租税特別措置法第42条の12の5(以下、「所得拡大税制」とします))が活用されています。

 所得拡大税制は、一定の要件の下で雇用者の給与等を増額した企業において適用することができますが、企業の雇用者の中には、国内の事業所に勤務する者だけではなく、海外の事業所や子会社などに赴任している者も存在したり、国内の事業所に勤務する者においても、日本人労働者のみでなく外国人労働者も存在したりします。所得拡大税制の適用に際して、どこまでの雇用者を計算の対象とするのか、その範囲について迷う場合も少なくありません。

 所得拡大税制における雇用者とは、「国内雇用者」とされ、具体的には、法人の使用人(当該法人の役員と特殊関係人、及び使用人兼務役員を除く)のうち、① 国内の事業所に勤務する雇用者として、② 国内に所在する事業所につき作成された労働基準法第108条に規定される賃金台帳に記載された者とされています。したがって、海外赴任者は、国内の事業所に勤務する者ではないことから、当該特例措置の計算の対象外とされます(※1)。また、使用者はすべての労働者について、各人別に賃金台帳を作成する義務がある(※2)事から、例えば、「技能実習」、「特定技能」などの在留資格により、有期労働契約により就労する外国人おいても、当該特例措置の計算の対象となります。(※1)一時的に海外出張をしている者など、海外で勤務を行っている場合においても、国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載される者は計算の対象となります。(※2)労基法108条、労基規54条