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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 移転価格文書化制度について

  OECDのBEPSプロジェクトの最終報告により、税務当局は多国籍企業グループの組織構造や事業の概要等に関する情報(マスターファイルと呼ばれています。)の提供を求めることができる旨の合意がなされ、また、関連者との取引における独立企業間価格を算定するための詳細な情報(ローカルファイルと呼ばれています。)については、確定申告書の提出期限までに作成、取得し保存すること(同時文書化と呼ばれています。)が望ましいといった勧告がなされたことを踏まえ、平成28年度税制改正では、それらに関する整備がなされました。具体的には、事業概況報告事項(以下、「マスターファイル」とします。)と国別報告事項(国ごとの収入金額、利益金額、納付税額等を記載)及び独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(以下、「ローカルファイル」とします。)の三つの文書の作成・提出が義務付けられました(以下、「移転価格文書化制度」とします。)

 マスターファイル及び国別報告事項は直前会計年度のグループ総収入金額が1,000億円以上であるものを構成する法人に義務化され、ローカルファイルは一の国外関連者との間の国外関連取引が50億円以上の場合、もしくは3億円以上の無形資産取引に義務化されます。したがって、移転価格文書化制度は大企業を対象としており、中小企業の場合、制度的にはいずれの文書の作成も必要とされないものと考えられます。しかし、多国籍化した中小企業においては、大企業と同様に、グループ全体を見渡し関連者間取引の価格を適正に設定する必要性が存在します。そのためにはこれら文書の作成が有効とされることからも、「移転価格文書化制度」の内容を理解し、それらに沿った形でのグループ全体の情報の整理が求められます。