社会、経済のボーダレス化やインターネットの普及に加えて国際郵便や国際宅配便といった物流サービスの向上により、海外との貿易に取り組む事業者が増加しています。輸出取引を行う場合には、通関手続など検討を要する項目が多々存在しますが、その中でも消費税の取り扱いに迷う場合も少なくありません。
事業者が国内で商品の販売など資産の譲渡等を行う取引は、原則として消費税の課税取引とされます。しかし、当該資産の譲渡等が輸出取引に該当する場合には消費税が免除されます。この場合の輸出取引とは、商品の輸出や国際郵便等で(資産の譲渡等が輸出取引に該当することについての)一定の証明がなされたものとされています。すなわち、輸出免税の適用を受けるためには、当該資産の譲渡等が輸出取引に該当するということについての証明が必要となります(※1)。
輸出取引を証明する書類は、輸出取引の区分に応じて規定されています(※2)が、具体的にみれば、資産の譲渡等が①輸出の許可を受ける貨物、および②当該資産の価額が20万円超の郵便物の場合には「輸出許可書」によって、③当該資産の価額が20万円以下の郵便物の場合には、輸出取引の事実を記載した帳簿又は郵便物の受取人から交付を受けた物品受領書等によってなされることとされ、これら書類は納税地等において7年間の保存が必要とされます。このように、輸出免税の適用には輸出許可証などといった証明書の保存が必要とされていることに注意が必要です。
(※1)消費税法第7条第2項
(※2)消費税法施行規則第5条第1項、消費税法基本通達7-2-23