海外から配当や使用料といった投資所得の支払を受ける場合、その国からの支払に際して、その国の租税の源泉徴収がなされることが一般的です。他方、我が国の法人税法上、源泉徴収された税額は外国税額控除の対象となり、これにより二重課税の排除がなされます。
支払国において源泉徴収される税率は、その国の国内法の規定によりますが、その国と我が国との間に租税条約が締結されている場合には、租税条約による限度税率に制限されます。したがって、法人税法上、外国税額控除の対象とされる外国税額は、条約締結相手国において課される税額の場合、租税条約に規定される税率が限度となります。すなわち、法人税法上、支払国において、租税条約に規定される限度税率を超えて源泉徴収された税額がある場合、そのような限度税率を超過した税額は、外国税額控除の対象税額となりません。
実務的には、条約締結国からの支払に際して、租税条約に規定される限度税率を超えて源泉徴収される場合も見受けられます。その場合、外国税額控除の対象とされない限度超過分の税額の処理に困惑することがあります。従前、このような限度超過税額は、租税条約相手国において還付を受けるまで、仮払金等として資産計上を行う必要がありました(※1)。しかし、税制改正(平成26年度)により外国税額控除についての整理が行われたことにより、当該限度超過税額は、支払日の属する事業年度の損金の額に算入することが可能とされています(※2)。
(※1)旧法人税基本通達 16ー3ー8(平成26年課法2-9「四」により削除)
(※2)平成29年3月期以降。なお、当該限度超過税額の全部もしくは一部の還付を受けた場合、還付されることとなった事業年度に益金算入することになります。