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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 親会社が負担する海外出向者給与の損金性

 多国籍企業は、海外に所在する子会社(以下、「現地法人」とします)に親会社の従業員を在籍出向させることが一般的です。在籍出向者には、現地法人から支払われる給与に加えて、親会社からも給与が支払われるケースが通例といえます。このように両国において支払われる在籍出向者の給与は、実務的には、出向元となる親会社と出向先となる現地法人との間で取り決められた割合を、それぞれの法人が負担することが多いものと考えます。この場合、出向元となる親会社が負担する給与ついて、法人税法上の損金性に迷う場合が少なくありません。

 在籍出向者が労務提供を行う先は出向先であることから、出向先が全額の負担をすべきという原則にたちながらも、他方、出向元が負担することに合理的な理由が存在する場合には、それを認めるといった考え方が存在します。合理的な理由とは、どのようなものが想定されるのでしょうか。具体的には、在籍出向が出向元の都合により行われており、出向元が従業員を在籍出向させることにより、何らかの利益を得ている場合など、出向元が負担する給与に対価性が認識できる場合が想定されます。また、そのようなケース以外でも、法人税基本通達(※)が出向元と出向先の給与条件に較差が存在し、出向元が雇用契約に基づき当該較差を補填する目的で負担する給与(以下、「較差補填給与」とします。)の損金性を認めていることから、実務的には較差補填給与も合理的なものとして取り扱われています。税務調査で問題となることが多い在籍出向者の給与負担の損金性について、損金算入の根拠と範囲について正しく理解をし、損金性の説明ができるように、内容の整理が求められます。
 (※)法人税基本通達9-2-47