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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 移転価格税制に係る調査必要度の判定

  国家間の課税権の適正な調整のためには、移転価格税制の適切な執行が必要とされます。移転価格調査は長期間にわたることも多く、また調査の結果、多額の課税額となることもあり、納税者にとって負担となります。他方、移転価格課税により生じた国際的二重課税には、租税条約を根拠とした税務当局間の相互協議といったプロセスが用意されていることから、当事者からの申立てに基づき、両国の税務当局の協議による合意解決が図られます。しかし、それには長期間を要する場合があり、税務当局にとっても負担となります。このように移転価格税制の執行は納税者と税務当局の両者にとって、大きな負担とならざるを得ない側面があります。

 国税庁はどのような方針のもとに、移転価格調査の必要性を判定しているのでしょうか。その考え方が、平成29(2017)年6月に国税庁から公表された「移転価格ガイドブック」に記載さています。ガイドブックでは ①内国法人が赤字又は低い利益水準となっていないか、②国外関連者の利益水準が高くなっていないか、③国外関連者への機能・リスクの移転などの取引形態を変更している一方、それに伴い適切な対価を授受していないこと等が想定されないかなど、6つの観点を例にあげ、納税者と国外関連者の機能・リスクも勘案しつつ、多角的に検討を行うことにより、調査の必要度の判定を行うとしています。
 
 調査をする側も、受ける側も負担が大きいとされる移転価格調査。対象とならないように企業による自発的なコンプライアンスの維持・向上が重要とされ、そのような自主的な対応を支援するため、各国税局に相談窓口が設置されるなど、積極的な施策が講じられています。