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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 代理人PE(恒久的施設)の拡張

  企業が海外で事業を行う場合、母国だけでなく、その国における課税問題の検討も重要となります。具体的には、その国の国内税法に従うことになりますが、租税条約が締結されている場合には条約の規定が(優先的に)適用されます。租税条約は「OECDモデル条約」と「国連モデル条約」を基に作成されていますが、「OECDモデル条約」によれば、事業所得は、その国にPEと呼ばれる恒久的施設(以下「PE」とします)が存在する場合に、当該PEを通じた所得についてのみの課税を受けるものとされています。これがいわゆる「PEなければ課税なし」と「帰属主義」の原則とされるもので、国際的な課税ルールといえます。

 PEには(支店や事務所、工場、作業所など)事業を行う一定の場所であって事業の全部もしくは一部を行う場所に加えて、(物理的な場所を持たなくても)代理人を使って事業を行う一定の場合も(当該代理人をPEとみなして)該当する(以下、「代理人PE」とします)とされています。しかし、当該代理人PEは契約名義を(企業の名ではなく)代理人の名とする、(実質的な活動は代理人が行うも)契約の締結は企業が行う、その国に所在する子会社等を独立代理人(企業以外の代理業務も行う者)とするなどの行為により回避されることがあり、問題とされてきました。
 
 この点に対処するために、OECDのBEPSプロジェクトでは代理人PEの定義を現状より拡張する行動基準を定めています。この行動基準は、今後、既存の租税条約に取り込まれていくことが予定されています。その場合、これまでPEとされなかった活動が新たにPEに認定されることも予想されることから、注意が必要です。