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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 恒久的施設(PE)規定の見直し(平成30年度税制改正大綱)

 平成30年度税制改正の大綱が決定されました(※1)。国際課税についてみれば、恒久的施設(Permanent Establishment)―以下、「PE」とします。)関連規定の見直しを行うとされています。

 OECDモデル租税条約では、二重課税防止のため、事業所得に対する源泉地国での課税は、その国にPEが存在する場合についてのみ受けるとされており、国際的課税ルールといえます。
PEには、支店や工場等、事業を行う一定の場所であって、事業の全部もしくは一部を行う場所に加えて、(そのような場所を持たなくても)企業の名で契約を締結する者も該当する(以下、「代理人PE」とします。)とされています(※2)。この場合、源泉地国内の販売契約の名義が企業ではなく代理人である場合は、代理人PEに該当しないことから、企業が源泉地国内の受託者に販売を委託する契約(いわゆる「コミッショネア契約」)を締結し、源泉地国内で受託者が(企業ではなく)受託者の名で販売契約を締結するといった、人為的なPE認定の回避が問題視されていました。
 
 このようなコミッショネア契約による人為的なPE認定の回避に対処するため、OECDのBEPSプロジェクトでは、代理人PEの定義を現状より拡張する行動計画が定められています(※3)
 
 平成30年度の改正はこのBEPS行動計画を受けたものであり、代理人PEの定義が見直されることによりその範囲が拡張されます。すなわち、非居住者等の資産の所有権の移転に関する契約を反復して締結し、又は、契約締結のために反復して主要な役割を果たす者を代理人PEに加えるとされています。
 
(※1) 平成29年12月22日閣議決定。
(※2) OECDモデル租税条約第5条。なお、代理人業を通常業務とする独立代理人は除かれます。
(※3) BEPS行動計画7「恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止」