このページではJavaScriptを使用しています。

中国・ベトナムへの海外進出と、海外企業の日本進出を支援しています

 

HOME > SBC新着情報 > 社会保障協定の動向②〔労務〕

  • 成和グループ各社
  • 税理士法人 成和
  • 成和ビジネスコンサルティング
  • 上海成和ビジネスコンサルティング
  • ベトナム成和ビジネスマネジメント

成和ビジネスコンサルティング新着情報

社会保障協定の動向②〔労務〕

社会保障協定の動向①に記載したように近年拡大の動きが活発化している「社会保障協定」とは、いったいどのようなものか確認してみましょう。

社会保障協定とは、社会保障制度への二重加入や年金保険料の掛け捨てなどの問題を解決するため、二国間で締結される協定です。
その目的は以下の通りです。

社会保障協定の目的
(1) 二重加入の防止
医療保険・公的年金・労働保険などの社会保険は、属地主義により現在居住している国の制度に加入するのが原則です。
(※そもそも外国人の加入を認めていない社会保障制度を有する国はこの通りではありません。)
しかし、日本企業から出向により海外派遣される海外勤務者については、日本本社との雇用関係が継続しているものとして、日本の社会保険に加入することとなります。
そして、同時に、原則通り現在居住している国、すなわち派遣先国の社会保険にも加入しなければなりません。
このように海外勤務者は、日本の社会保険制度と派遣先国の社会保険制度への二重加入を余儀なくされ、社会保険料を二重に負担せざるをえません。
多くの場合、海外勤務者の負担を軽減するため、日本本社が派遣先国の社会保険料を全額負担しており、社会保険料は日本企業の海外競争力を阻害する遠因になっているともいわれています。
社会保障協定は、海外勤務者の派遣期間が一時的なものと認められる場合に、派遣先国の社会保障制度への加入を免除することを二国間で約し、社会保険制度への二重加入の弊害を防止するものです。
ただし、各国との協定内容により、相手国によって一部例外があります。

(2) 年金加入期間の通算
日本の公的年金制度は、原則として25年の加入期間があることにより初めて老齢基礎年金その他の老齢年金の受給権を取得することができます。
外国の公的年金制度についても、同様に一定期間の制度への加入を要求する場合があります。
しかし、外国に短期間派遣され、その期間だけ派遣先国の公的年金制度に加入したとしても、老齢年金の受給資格要件を満たすことができず、派遣先国で負担した年金保険料が掛け捨てになってしまいます。
社会保障協定は、この問題を解決するために、協定を締結した二国間の一方の年金制度の加入期間のみでは、受給資格を満たさない場合に、他方の加入期間を通算することにより年金の受給権を獲得できるようにするものです。
ただし、受給できる金額は、あくまでもそれぞれの国で支払った金額に見合う年金額です。

(1)については、会社員である第2号被保険者を例に記載しましたが、海外で自営業活動を行う第1号被保険者にも二重加入や年金保険料の掛け捨ての問題は生じえます。
国際間の人の移動がますます拡大する中、社会保障協定締結の動向にますます注目が集まることは必至です。