このページではJavaScriptを使用しています。

国内・国際税務、農業の会計・税務コンサルティングを行う税理士法人 成和。

 

HOME > 税理士法人 成和新着情報 > 平成23年度税制改正大綱~相続税・贈与税の改正~

  • 成和グループ各社
  • 税理士法人 成和
  • 成和ビジネスコンサルティング
  • 上海成和ビジネスコンサルティング
  • ベトナム成和ビジネスマネジメント

税理士法人 成和新着情報

平成23年度税制改正大綱~相続税・贈与税の改正~

平成23年度税制改正大綱どおりの改正が実施された場合には、贈与税が最も早い時期の適用となります。

贈与税は、直系卑属の税率構造緩和等が本年1月1日から適用され、相続税は、負担増となる基礎控除引き下げや税率見直し等が本年4月1日から適用されます。

★贈与税:平成23年1月1日より適用
★相続税:平成23年4月1日より適用

以下、相続税・贈与税について改正案の概要をご説明いたします             

■1■ 基礎控除の引き下げ≪相続税≫      
基礎控除は、物価や地価の水準が現在と同等だった時期、昭和50年代半ばに適用されていた水準と同等に再設定されることになります。
基礎控除は、次のように引き下げられます。 
 
  現 行 改 正 案
定額控除5,000万円3,000万円
法定相続人
比例控除
1,000万円 × 法定相続人数600万円 × 法定相続人数
 

【例】法定相続人が配偶者と子2人の合計3人の場合
従来の基礎控除は「5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円」で、8,000万円以上の遺産がなければ相続税はかかりませんでした。
しかし、改正後の基礎控除は、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」と引き下げられ、4,800万円以上の遺産があれば原則として相続税が課税されることになります。
 

 ■2■ 相続税の税率構造の見直し≪相続税≫
相続税の最高税率が50%から55%に引き上げられ、また、税率区分は現状の6段階から8段階に変更されます。
6億円超の遺産に最高税率の55%が適用され、2億円超3億円以下には新たな税率区分として45%が設けられました。  

現  行改  正 案
金  額税率金  額税率
1,000万円以下10%1,000万円以下10%
3,000万円以下15%3,000万円以下15%
5,000万円以下20%5,000万円以下20%
1 億円以下30%1 億円以下30%
3 億円以下40%2 億円以下40%
3 億円以下45%
3 億円  超50%6 億円以下50%
6 億円  超55%

【例】課税価格3億円の場合の増税額
 ~基礎控除と税率の改正後~
相続人が配偶者と子供2人で、法定相続分で相続したとした場合には、現行の税額は2,300万円であるが、改正後は2,860万円となり、560万円の増税となります。
 
■3■ 生命保険の控除制限≪相続税≫
生命保険金には、次の非課税枠が設けられています。 
 500万円 × 法定相続人の数
 
改正後は、控除が認められる「法定相続人」に制限が設けられます。
対象は、「法定相続人」のうち、未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限られます。
このため、法定相続人に該当しても、亡くなった親から独立した子供などには、非課税枠がなくなることになります。
 
■4■ 未成年者控除・障害者控除の引き上げ≪相続税≫
①未成年者控除は、「20歳までの年数×6万円」から「20歳までの年数×10万円」に引き上げられます。
②障害者控除は、「85歳までの年数〔*〕×6万円(特別障害者:12万円)」から「85歳までの年数×10万円(特別障害者:20万円)」に引き上げられます。
〔*〕平成22年3月31日以前に相続又は遺贈で財産を取得したときは、70歳までの年数でした。
 
■5■相続時精算課税贈与制度の対象者拡大≪贈与税≫
①相続時精算制度の受贈者に20歳以上である孫(現行は推定相続人のみ)が追加されます。
②贈与者の年齢要件が、65歳以上から60歳以上に引き下げらます。
 
※孫への相続精算課税制度の利用が可能となりますが、その孫が相続時に代襲相続人に該当しない場合には、相続税の2割加算の対象となるため、注意が必要です。
 
■6■贈与税の税率構造の見直し≪贈与税≫
相続税の見直しに対応して、最高税率が50%から55%に引き上げられ、税率区分は6段階から8段階に変更されます。
また、適用される税率構造は、「一般の贈与」と「直系尊属(父母・祖父母)からの贈与」が区分され、「直系尊属からの贈与」については特別に緩和されます。
なお、基礎控除110万円は変わりません。
             
◆◆コメント◆◆
改正により、いままでは相続税とは無縁だと思われていた方にも、相続税の納税が必要になる可能性があります。
また、相続税がかかると思われている方も予想していた税額より多くの相続税が課税されることになります。
 
まず、改正法による相続税の試算によって、現状での税額を確認してみることをおすすめします。
 
今後は、相続税対策の一つである生前贈与による財産の移転の検討がますます重要となるでしょう。