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上海市の最低賃金が引上げられます (労務)

2010年4月1日より上海市の月給の最低賃金が960元から1,120元に引上げられます。

急速な経済発展を遂げる中国では、経済の発展に伴い、最低賃金が引上げられてきました。しかしながら、昨年(2009年)は、金融危機による景気の低迷を受け、中国全土で最低賃金の引上げは見送られていました。上海市の最低賃金も、2008年4月に月給が960元、時給が8元とされて以降、現在までこの基準が維持されてきました。

中国政府の4兆元にのぼる景気対策が実行に移されるとともに、外国の景気が徐々に回復する中で、中国の製造業の生産が急速に回復しています。これに伴い、一時期は一斉解雇などにより悪化していた求人が好転し、中国各地で人材不足が叫ばれる状態となってきました。

このような状況を背景に、今年(2010年)初頭より、中国各地において最低賃金の引き上げが行われています。
例えば、2月には江蘇省の最低賃金が改定され、一級地域での月給が850元から960元に、二級地域での月給が700元から790元に、三級地域での月給が590元から670元にそれぞれ引上げられました。
この他にも、3月には福建省の最低賃金が改訂され、5月からは広東省の最低賃金が改訂されることが発表されています。
今回の上海市の最低賃金改定も、上記のような背景の下で行われたものと考えられます。

最低賃金の上昇は、個人の可処分所得を増加させ、内需を拡大することで安定的な経済規模の拡大を画策する中国中央政府の意向に符合するとともに、田舎からの農民工(出稼ぎ労働者)による十分な労働力を確保することで企業誘致を推進しようとする各地方政府の思惑にも合致します。また、田舎からの労働力確保のために、各地方政府の間での最低賃金上昇レースが展開されることも考えられます。したがって、今後も最低賃金の上昇は続くことが考えられます。

従来型の中国進出企業(中国からの輸出を基調とする企業)にとって、最低賃金の上昇は、人民元の切上げなどと並んで、非常に大きなリスクとなります。一方、中国市場への参入を目的とする中国進出企業にとっては、賃金上昇も当然の前提としての経営戦略が不可欠となります。
いずれにしても、今後の最低賃金上昇の動きには十分な注意が必要です。

なお、政府によって確定される月給の最低賃金には、社会保険料(個人負担部分)は含まれません。したがって、実際に会社の負担すべき従業員給料の最低基準は、最低賃金に社会保険料(個人負担部分)を加えた金額となります。